小此木八郎国家公安委員長が就任記者会見で、運転免許証のデジタル化を推進していくことを表明されました。
運転免許証をデジタル化するのはなぜなのかや、デジタル化することでどんなメリットやデメリットがあるのかについてまとめました。
すでに海外ではいくつかの国で、免許証のデジタル化が開始されているといった情報も書いていますのでぜひご覧ください。
免許証をデジタル化したいのはなぜ
運転免許証の保有率は令和元年の統計によりますと、男性が全体の約54%で女性が約45%となっています。
男女ともに2人に1人が免許を持っていることになります。
ではこの免許証をデジタル化したいのはなぜなのでしょう。
考えられるのはまず情報の一元管理があります。現在のような免許証ですと色んな申請で免許証が必要な時にコピーを取らないといけません。そうすると紙ですので管理するのも大変ですし、探すときにも面倒になります。
これがデジタルだと一つのファイルにしてパソコンで管理でき、取り出すときにもすぐに見つけられます。
また、警察官が身元を紹介するときなどにもデジタルであれば、スキャンするだけですので取り締まりの時間の短縮にもなるわけです。
それとマイナンバーカードを普及させたい狙いがあるのではないかと思われます。マイナンバーカードは個人情報がデータとして入っているので、行政での手続き(役所での交付書類や税務署への提出書類)などが容易となり、利便性がよくなるといわれています。
しかしながらその普及状況は2020年4月現在、次のようになっています。
ご覧のように全体の約16%ほどの約2000万人にしか交付されていません。
そうした中、運転免許証をデジタル化することで利便性を理解してもらい、その後マイナンバーカードとも連携させたいのではないかと考えられます。
国としては国民の個人情報を一元管理することで、情報管理がしやすくなるというメリットがあるのでしょうが、今でも運転免許証にはICチップが埋め込まれていますが、まったく機能していないといった声も聴かれます。
免許証をデジタル化するメリットは
免許更新してきました!
ゴールド免許継続! pic.twitter.com/2bSSbW3p0m— あやき (@ayaki0099) September 11, 2020
運転免許証をデジタル化することで国民にはどんなメリットがあるのでしょう。
- 免許更新が楽
- 紛失しても悪用されるリスクが少ない
- 身分証をスマホで提示
我々が受けるメリットとしては、まず免許更新の際にわざわざ警察署に出向く必要がなくなり、自宅で更新手続きができる可能性があります。
スマートフォンの中に免許証が入るようになりますので、自宅にいながら更新時期になったら指紋認証などで更新できるようになると思います。
紛失してもすぐに利用を中止できますので、今までの免許証のように偽造されたりといった悪用されるリスクが少なくなるでしょう。
さらには身分提示を求められても、スマホをさっとかざせば済むので今までのようにバッグやポケットから免許証を出す必要もなくなるわけです。
免許証をデジタル化するデメリットは
免許証をデジタル化するデメリットは何があるのでしょう。
- 充電が切れたら確認できない
- 高齢者には普及しないのでは
- 情報流失の危険性
運転免許証がデジタル化されるとスマホが必要ですので、万が一スマホの充電が切れてしまったらどうしようもないです。
ガソリンがなくなった車と一緒で、なんの役にも立ちません。
そして運転免許証のデジタル化でおそらく困る方の多くは高齢者になると思います。スマホの普及率は18~29才では96%でほぼすべての人が持っているのですが、これが65才以上の高齢者になると53%の人しか持っていないのです。
そうなると現在の免許証と併用せざるを得なくなってくるでしょう。
一番怖いのが情報の流失です。仮想通貨でもハッキングされてネット上で盗まれる被害が出ましたし、キャッシュレスでも他人になりすまし不正アクセスの被害が出ました。
そうしたことからセキュリティを万全にしていないと、運転免許証のデジタル化でも同じような被害を被る可能性があります。
免許証のデジタル化はすでに海外で始まってる
運転免許証をデジタル化する試み、フィンランドで始まる https://t.co/R6Uhgfn7jW pic.twitter.com/t4HWY7R6fk
— Techable (@TechableJp) February 8, 2018
運転免許証のでデジタル化は海外ではすでに始まっています。
アメリカではコロラド州で始まってから、アイオワ州・アイダホ州・メリーランド州・ワシントンDCと5つの州で運転免許証のデジタル化を取り入れています。
そしてヨーロッパでもノルウェーやアイスランドで始まっていて、アイスランドではすこぶる好評のようです。
地元メディアによると、デジタル免許証を心待ちにしていた人々がウェブサイトに殺到し、初日には12000件を超える申請があったとか。
引用:http://www.hokuwalk.com/Topic/page/page_id/022020070700015001/cat_id/6
また、アイスランドでは運転免許証のデジタル化の目的は「警察に資格情報を提供できるようにすること」だと報じられています。
今後義務化されれば従わざるを得ませんが、反対の声が多いようなので簡単にはいかないのではないでしょうか。