2027年に東京ー名古屋間の開業を目指し、建設が進むリニア中央新幹線。
しかし建設区間である静岡県との折り合いがつかず、建設が遅れています。
リニアの問題点は何なのかをわかりやすく、また静岡県民の反応についてもまとめてみました。
リニア問題をわかりやすく!リニア中央新幹線建設計画の概要
リニア中央新幹線建設計画は、全国新幹線鉄道整備法に基づき高速輸送を目的として東京ー大阪間を直線距離で結びそのルートを最高時速505kmという超伝導磁気浮上式リニアモーターカーを走らせる計画です。
建設主体であるJR東海によると、完成後は東京ー名古屋間(285.6キロ)を40分、東京ー大阪間(438キロ)を67分で結べることになると試算しています。
建設の理由としては、兵庫県南部地震により東海道・山陽新幹線が長期間運行できなかったことや、東海道新幹線の老朽化により大規模な補修工事が今後必要になることなどがあるようです。
リニア問題の経緯についてわかりやすく
リニア問題をわかりやすくするために今までの経緯について時系列でご紹介していきます。
- 2014年 国が工事実施計画を認可
- 2018年9月 JR東海が静岡工区の準備工事に着手
- 2019年5月 静岡県の反対で静岡工区の準備工事が中断
- 2020年4月 静岡工区の水資源問題に関する国の有識者会議開始
- 2020年6月 JR東海社長と静岡県知事が会談。県は準備工事の再開を認めず。
- 2020年7月7日 静岡県がJR東海の質問書に対し、「これ以上の議論をすることは新たな価値を生まない。」と回答。
- 2020年7月9日 国交省がJR東海と静岡県に打開策を提案。
- 2020年7月10日 国交省次官が、JR東海社長と静岡県知事と面談。
JR東海社長と静岡県知事が面談するものの、JR東海側の準備工事であるトンネル掘削工事の再開を求める声に対して、静岡県の川勝知事は準備工事は本体工事と一体との認識を示されて、面談は物別れに終わっています。
リニア問題点をわかりやすく解説
リニア建設において問題な点は2つです。
- 大井川の水量が著しく減るおそれがある
- 静岡県にメリットがない
【1.大井川の水量が減る】
リニア中央新幹線の建設ルートには長野県・静岡県・山梨県にまたがるトンネル工事が必要になります。
しかしながらそこには静岡県にとって、大事な「命の川」である大井川の水源が通っているのです。
トンネル工事によって水脈が寸断されてしまうので、それが一番の問題となっているようです。
大井川の水は静岡県内8市2町の62万人の水道水として利用されているだけでなく、農業用水さらには工業用として静岡県になくてはならないまさに「命の水」なのです。
JR東海側は減少した水を6割戻すといっていますが、川勝知事は6割でなく全量戻すことを主張しています。
南アルプスには破砕帯と呼ばれる水を貯えることのできる地層があります。しかしながらトンネル掘削工事により地層に穴があけられ、水が噴水のように吹き出し、山梨側と長野側に流れてしまう恐れがあるのです。
こうしたトンネル工事における水問題は過去にも発生しており、静岡県東部に位置する「丹那トンネル工事」(東海道本線熱海駅~函南駅間)では、破砕帯に蓄えられていた豊富な水が湧き出ていたのだが、工事によって枯れてしまったのである。
そのため水田やわさび田だった耕作地帯も廃れていき、稲作もできなくなってしまったのです。
その苦い経験を繰り返したくないというのが、静岡県の本音ではないだろうか。
リニアで、静岡が反対して着工できなくなってるせいで、長野県のリニアルート案の先見性が評価されてるの草
(画像は https://t.co/NRmsrmITpc より) pic.twitter.com/94hQ0BY4Jt
— マルベリー公 (@D_o_Mulberry) June 29, 2020
【静岡県にメリットがない】
リニア中央新幹線が開通しても静岡県には何のメリットもないのです。まず静岡県には停車駅ができません。
リニアが通る他の都県(東京・神奈川・山梨・長野・岐阜・愛知)には駅ができ、県民にとっても恩恵をうけるのですが静岡県だけはそれがなく、東海道新幹線においてものぞみの停車駅がないのです。
さらには水問題で生態系にも影響を及ぼす可能性があるとなれば、もろ手を挙げてリニア着工に賛同できないのは当然かもしれません。
静岡県民の反応は「川勝知事を支持します」
https://twitter.com/madoka_ka/status/1277050261903556610「静岡はわがままだという意見もありますが、そうでなくそこに住んでる人にしかわからないことを理解してほしいです。」
悪いが、この件に関しては静岡県民のほとんどが川勝支持だと思うよ。
静岡にはほとんど関係のないリニアで、静岡県民の生活(水問題)が脅かされている。
大井川流域には、お茶を筆頭に一次産業~三次産業まで多くの産業が大井川の水に頼っている。
それを蔑ろにされて計画の推進はあり得ない。— Keeshond Twins (@OrangeHiro) June 29, 2020
「静岡県民にとってはほとんど関係ないリニアに、賛成できる理由が見当たらない。」
https://twitter.com/diaval118/status/1276707116917510144妨害って何だろ?
暮らしを妨害されるの静岡県民なんだけど、2027年に間に合わない?それJR側の都合であって、静岡には関係なくない?丹野のトンネルの過去も知らない他県の人、もっと調べて勉強して(笑)JR社長もマスコミも静岡が邪魔してる印象操作。#リニア
— ひろのぶ (@wbynist) June 27, 2020
静岡県のあるテレビ局が行ったアンケート調査によると、
「リニア新幹線の静岡県内の工事によって大井川の水が減る恐れがあることを知っていますか」
に対しては、「知っている」が87%で「知らない」が13%でした。
「大井川の水問題対策を巡りJR東海と対立する川勝知事を支持しますか」
に対しては、「支持する」が60%で「支持しない」が18%、「わからない」が22%でした。
こうした調査結果からもいかにリニア工事による水問題が重要なのかがわかります。